着情報 2021.2.17

再稼働阻止全国ネットの皆様へ

事務局の沼倉から、213()23時07分発生の福島沖地震についての

これまでに分かった情報をまとめてみました。

●特に女川原発に関する山崎さんの報告について注目してください。

●沼倉からのお願い

今回の地震で停電が発生しました。

情報が少なく、報道では電力の融通によって比較的早く解消されたという肯定的評価で

テレビなどでもあまり報道されていません。

問題点など報告可能な方、MLへの投稿願います。

 

【地震の概要】

〈国土交通省災害情報第8報ー2160730現在〉

・発生日時ー2132307

・震源地ー福島県沖 深さ55km(暫定値) 

・地震の規模(マグニュチュード)7.3(暫定値)

・各地の震度

 《震度6強》 相馬市、国見町、新地町(福島) 蔵王町(宮城)

 《震度6弱》 

 (宮城)岩沼市 宮城川崎町 亘理町 山元町 登米市 石巻市

 (福島)福島市 郡山市 須賀川市 南相馬市 伊達市 本宮市 桑折町 川俣町 天栄村

  広野町 楢葉町 川内村 大熊町 双葉町 浪江町

・原発立地地の震度

東海村ー震度5弱 女川町ー震度4 刈羽村ー震度4 六ケ所村―震度3

 

 

〈朝日新聞2/16報道記事要約 

 

 宮城県と福島県で13日に震度6強を観測した地震は、日本列島の下に沈み込む太平洋プレートの内部で起きた。

震源が55キロと深く、地震の規模を示すマグニチュード(M)も7・3と大きかったため、広い範囲が大きく揺れた。

政府の地震調査委員会は14日、臨時委員会を開き、福島県南相馬市の一部の観測点が西に2センほど移動し、

1020センチの津波が観測されたと報告。

震源が硬いプレート内部だったため、揺れが減衰せずに遠くまで伝わり東北から関東まで広範囲で震度4以上の揺れになった。

震源が深さ24キロだった東日本大震災は、海底が幅広くずれて巨大津波が起きたが、

今回は震源が55キロと深かったことで海底の変化が少なく津波も小さかった。

揺れの勢いを表す加速度は、宮城県山元町で最大1432ガルを記録。

熊本地震の本震で1362ガルを観測した益城町を上回った。

にもかかわらず家屋の被害が少なかった理由について、東京大地震研究所の古村教授は、

「周期1~2秒のやや長い揺れが、熊本地震や、阪神淡路大震災と比べて弱かった。

一方、1秒より短い小刻みな揺れは強く、土砂崩れやブロック塀が倒壊しやすかったとみられる」と話した。

 

【被害状況(原発関連)

《東電》

・福島第一と第二原発の使用済み燃料プールの冷却水が計3リットルほどあふれたとは発表した。

 外部流出はなく拭き取った。周辺の放射線量にも変化はなかった。

 発表では、あふれたプールの水は第一原発5号機約0.6リットル 6号機約1.6リットル

 

 1~6号機の共用プールでで役0.6リットル 第二原発1号機で約0.16リットル -以上2/16朝日報道記事

 

《女川》

・山崎久隆コメントーたんぽぽ舎メルマガ【TMM:No41282021215()地震と原発事故情報掲載

【抜粋掲載】

 

◎ 原発の状況については、福島第二と福島第一5、6号機で使用済

燃料プールの水が溢れていることが確認されているが、1〜3号機に

ついて、それがなかったという意味ではなく、おそらく現場を確認する

ことが困難なために速報されていないだけと思われる。

 原発で大きな損傷があったとの報道はないが、東北電力によると女川

原発で以下のような問題が発生したとされる。2月14日付け東北電力

報道発表を引用する。

--------

◎ 地震発生による女川原子力発電所の設備点検結果について

 2021214

 昨日(2月13日)2308分に宮城県内で最大震度6強の地震が発生

しました。

 女川原子力発電所においては、安全上重要な設備に異常はなく、周辺

への放射性物質の影響もありませんでした。

 なお、地震後の現場パトロールにおいて以下の状況を確認し、復旧

作業を実施しております。

1.変圧器避圧弁※1

地震により変圧器内の絶縁油が揺すられ当該弁が動作したもので、当該

弁の点検を行い、必要に応じ新品と交換する。

2.女川3号機タービン建屋ブローアウトパネル※2

地震により当該パネルが開状態になったもので、点検を行い元の状態に

復旧する

3.女川2号機および3号機放水口モニタ※3

 地震により2号機および3号機のサンプリング用の取水ポンプが停止

したことに伴い、同号機の放水口モニタが欠測した。点検の結果異常が

ないことを確認し、本日4時00分のデータから伝送を復旧した。

4.大容量電源装置※4

 地震発生後、1台で故障を示す警報が発生したことから、今後、点検

を実施する。

5.女川3号機除塵機※5

 地震発生後、電源が入らない状態となったことから、今後、点検を

実施する。

※1避圧弁:変圧器内の事故による器内圧力上昇時、機器の損傷を防止

するため内部の絶縁油やガスを外部に放出する安全弁

※2ブローアウトパネル:建屋内の圧力が上昇した時に押し出され、

建屋内の圧力を減圧するためのパネル

※3放水口モニタ:発電所の放水口から放出される液体中の放射性

物質の有無を、連続的に測定している設備

※4大容量電源装置:震災後に緊急的に設置した電力を供給する

ための設備

※5除塵機:冷却用として取水する海水中の塵かいを取水時に

取り除く設備

 

https://www.tohoku-epco.co.jp/news/atom/__icsFiles/afieldfile/2021/02/15/P1218943.pdf

 

以下、山崎のコメント

 

1.については、内部で短絡事故が起きた場合に発生するガスや絶縁

油の急激な温度上昇に伴う膨張やガスの燃焼などで圧力が上がった時

に、変圧器の爆発や損傷を防ぐ目的で付けられているという。

 「震動により変圧器に入っている絶縁油が揺れにより振動し弁が

作動」というのは設計想定なのかそうでないのか。この文章だけでは

説明が不足している。

 何処の変圧器なのかも不明確で、通電していた変圧器なのか、短絡が

発生していたのかなど、詳細な説明が必要だ。

 

2.については、柏崎刈羽原発と福島第一原発事故の教訓は生きて

いないようだ。

 柏崎刈羽原発では原子炉建屋のブローアウトパネルが脱落し、福島

第一原発では開かなかった。

 ブローアウトパネルとは、通常運転時には建屋内部の放射性物質を

含む気体を封じる役割があり、事故時に建屋の内部の圧力が上昇した際

には建屋を損傷させないように開く必要がある。

 

 今回の場合、建屋内部の圧力上昇はなかったと思われるので、開いて

はならないタイミングで開いたことになり欠陥である。タービン建屋

でも配管損傷やタービン破損、復水器の損傷などでいくらでも放射性

物質が放出される環境にあるので、地震程度でいちいち開いていたの

では何の役にも立たないということだ。

 

 ブローアウトパネルについては「東海第二」でも問題になったもの

で、沸騰水型軽水炉特有の欠陥があると、以前から問題として指摘

されてきた。女川でも全く解決していないことが良く分かった。

 

3.放水口モニタについては、地震発生時に停止してしまい、復旧

できたのが実に5時間後の翌日午前4時、バックアップもないのかと

思う。

 この装置は建屋内部から排水口を経て海に出る放射性物質を監視

している。

 それが地震でいちいち止まっていたら役に立たない。

 地震の時ほど建屋内部で配管損傷などで、放射性物質が外部に出る

事故が起こりやすい。

 その最も肝心な時に監視できないのでは、存在意義さえない。

 こんなものはバックアップシステムを作ればすぐに改善できるのに、

最初からやっていないのは大きな欠陥だ。

 

4.大容量電源装置が壊れた?可能性がある。

 詳細には今後の調査待ちだろうが、地震で最も壊れてはならないのは

言うまでもなく電源システム。

 福島第一原発では地震で構内の電源設備が大破したため繋ぎ込みが

出来たとしても各所に電力を送り込むことが困難であった。

 

 その反省から、敷地内に電源車を配置すると共に重大事故への対処

として「大容量電源装置」を敷地内に三基も設置した。その説明は

以下の通り。

 『大容量電源装置の配備 原子炉等を冷却するために必要な大型の

ポンプ等に電力を供給するため、津波等の影響を受けない高台(海抜

52m)に配備 大容量電源装置の配備 完了 2012年2月』

 今回は外部電源もディーゼル発電機も損傷していないので、この装置

は起動していないと思われる。それが津波到達前に地震で壊れたのか、

詳細な説明が必要だ。

 

5.女川3号機除塵機とは、取水口で海水からゴミを取り除く装置だと

いう。これの電源が入らないから点検するという。

 地震で電源システムに損害を生じた可能性があり、この装置だけの

問題かどうかはっきりしない。系統全体で損傷がないか確認する必要が

ある。

 地震で構内電源設備が損傷することは避けられないが、この程度の

地震でも起きるとしたら、一般産業産業や家庭の電源設備以下だ。

  *  *  *

◎ なお、誤解があってはならないので強調するが、この地震の最大

震度6強といっても、それは相馬市や蔵王町のことである。

 女川町は震度4であり、おそらく原発も同程度と見て良い。

 東京23区でも最大震度は4なので、東京で感じた揺れの大きさ程度

しか原発は揺れていないと思われる。

 

 震度4も幅は広く、周期0.1秒で100ガルあまりから200ガルまでの幅は

あるので、東京と女川で倍くらいの差はあるかも知れないが。

 震央から約82km離れた女川原発は、震央からの直線距離は

100km、震央距離約74kmの福島第一よりも遠い。

 

 それなのにこれだけ多くの問題発生とは、いったいどんな原発なのか。

 これは重大な問題である。震度4で壊れてしまった原発が本当に想定

しなければならない地震は震度7、宮城県沖の地震と太平洋のプレート

境界地震だ。

 今回の地震エネルギーの何千倍もの威力があるうえ、原発の真下で

起きるかも知れない。

 遙かに巨大な上下動と、もっともっと長い震動継続時間は原発に致命

的な打撃を与える。

 耐震強化したといっても結局はこの程度。

 

◎ 地元自治体は、遙かに小さい地震でも原発の安全性に問題があった

ことについて、もっと真面目に考えるべきだ。

 

【停電】

電力各社によると、13日午後111520分ごろ、地震の影響で東北、関東両地方を中心に計12県で最大約95万戸が停電したが、14日午前までに全て解消した。

13日夜に宮城、福島両県で震度6強を記録した地震を受け、東北地方で13基、発電出力で計6867000キロワット相当の火力発電所が停止した。経済産業省によると、北海道や西日本の電力会社からの電力融通があり、大規模な停電につながる恐れはない。

本卸電力取引所(JEPX)の発電情報公開システムによると、東京電力と中部電力の火力発電事業を統合したJERAの広野火力5、6号機(各60万キロワット)や、東北電力とJERAの合弁会社が運営する新地火力1、2号機(各100万キロワット)など原子力発電所に相当する規模の発電機が複数停止した。

  JERA広報担当の澤木敦生氏は、広野火力2基について被害状況を現在確認中で、稼働再開時期の見通しは未定と話した。発電情報公開システムでは現在、5基(出力1907000キロワット)が16日までに復旧予定となっている。

  地震で複数の発電所が停止したことで大規模な停電が発生。東京電力パワーグリッドによると、栃木県や神奈川県を中心に一時86万戸で停電が発生した。東北電力管内でも、一時福島県や岩手県など計約10万戸で停電が起きたものの、現時点では両社管内の停電はすべて解消している。

 

 

 

 着情報 2020.6.12

11)III-3.2耐震設計方針(p47

  耐震重要度の問題点 耐震重要度分類はリスクを増している。

  施設の中に安全上重要ではない施設はない。SクラスからCクラスの

  分類は不合理だ。

 12)III-4設計基準対象施設の地盤(第6条関係)(p56

  地盤の悪さは地震多発地帯、活断層(六ヶ所断層)の真上なのだから当然。六ヶ所村の撓曲構造   により地盤はずたずた。マンメイドロック(人造岩板)の上に乗せている。

 

13)III-6外部からの衝撃による損傷の防止(第9条関係)(p67

 

 地震と津波を除いた「外部衝撃」の評価では、最も厳しいところを見ていない。 

14)III-6.2.3火山の影響に対する設計方針(p78) 

 火山の影響については、事実上火砕降下物のみしか検討していない。 

15)III-6.2.4外部火災に対する設計方針(p90) 

 外部火災評価が極めて甘い。

 16)III-6.2.5航空機落下に対する設計方針(p99) 

 あえて「対策をしないこと」をだらだらと述べる記述は、事業者と規制委の不真面目さを表す最も典型的なものと言わざるを得ない。 

17)III-6.2.6その他自然現象に対する設計方針(p102) 

 「その他の自然現象」で「過去の観測記録」に基づく対策では 不十分。 

18)III-6.2.8自然現象の組合せ(p104) 

 組み合わせに「津波」がないこと、周辺火災との組み合わせの影響評価が恣意的なことが問題である。

19)III-7再処理施設への人の不法な侵入等の防止 (第10条関係)(p106) 

 人の侵入以外にも「サイバー攻撃」がきちんと考慮されるべきである。

 20)IV-1.1重大事故を仮定する際の考え方(p140) 

 降下火砕物は除去できるとするのはあまりに現実離れしている。 

21)IV-1.2.1臨界事故への対策(p153) 

 この項で臨界事故を想定しているのは8箇所であり、それ以外は想定外であることは問題。 

22)IV-1.2.2冷却機能の喪失による蒸発乾固への対策 (p162) 

 この項では高レベル放射性廃棄物貯蔵タンクの冷却が止まり液体部分が蒸発して固体部分が固化した状態(蒸発乾固)を想定するが、タンクの損傷も起きなければセルの破損もないなど、楽観的に過ぎて重大事故対処になっていない。 

23)V 大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応(重大事故等防止技術的能力基準2.関係) (p296

  福島第一原発事故でも出来なかったことをどうやって実現するのか、法令等の整備もない。動員令を発令する権限は誰にもない。 

着情報 2020.6.09

六ヶ所再処理工場の新規制基準適合性審査パブリックコメント案  ()(2回の連載)

   誰もが疑問に思う「再処理事業の必要性」については問われていないから、とても中途半端な文章

   みんなでパブコメを出そう 6月12日まで 

   山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)   

 ◎ 原子力規制委員会は5月13日の定例会合で、日本原燃六ヶ所再処理工場が新規制基準に「適合している」とする「審査書案」まとめた。そのパブリックコメントが現在行われ、その後「決定」される見通しだとされる。 

 日本原燃は2014年1月に六ヶ所再処理工場の審査を申請おり、この「審査書案」の決定まで6年以上かかっている。

  主な論点は、原子炉等規制法の改定に伴う「新規制基準適合性審査」の範囲であり、再処理等の施設そのものの安全性を問うているわけではない。 

 さらに施設の敷地近傍の「地震動評価に与える影響が大きい」とされる断層に「出戸西方断層」だけを取り上げ、これについての事業者の主張の確認のみ行われている。 

 また、航空機落下による損傷防止について再処理の主要工程(使用済み燃料受入れ・貯蔵、前処理、分離、精製、ウラン・プルトニウム混合脱硝、高レベル廃液固化)ごとの標的面積・落下確率に関する評価から「追加的な防護措置は不要」などとしている。 

 誰もが疑問に思う「再処理事業の必要性」「成立性」については問われていないから、とても中途半端な文章に見える。

 これで再処理施設の稼働に道が開いたとされるのだが、これで諦める必要は全くない。 

 日本原燃により設定された竣工時期は「2021年度上期」(20219月末)とされているが、それが実現するとは誰も思っていないし物理的にも不可能と考えられる。 

 また、これら設備が完工しても検査にも時間が掛かる。 

 こんな審査書案では受け入れられないとの世論の力が一つの歯止めになり得るし、これらの審査内容においても日本原燃の問題点を指摘できる。 

◎ 世論形成と反対の声を強めるために、パブコメに取り組んでいきたい。(1)から(10) 

(1)I はじめに(p1)について 

 新規制基準適合性審査を受審できる状態ではない再処理路線は断念すべきだ。六ヶ所再処理工場を稼働させてはならない。 

(2)II 再処理の事業を適確に遂行するための技術的能力(p4) 

 過去24回以上の延期を繰り返し、そのほとんどがトラブルに起因するものであったことを考えると、再処理事業の技術的能力があるとは考えられない。何を持って技術的能力があるというのか具体的な証明は何も成されていない。 

(3)II-3 経験(p6) 

    規制委の言う「実績」は、運転をしてはならないことを示していると考える。

 (4)III設計基準対象施設(p11) 

 この審査の異様な一面が明らかになっている。それは「なお、臨界防止、遮蔽、閉じ込め機能等に係る規制要求は、規制要求への適合性に影響を与えないものであることを確認した。」という文章である。今回の新規制基準適合性審査においては、これらは対象外だとしているのである。

 (5)III-1再処理を行う使用済燃料の種類(冷却期間)の見直し(p11) 

 燃料体の冷却期間変更は実態を反映していない。 

(6)III-2火災等による損傷の防止(第5条関係)(p13) 

 火災対策に漏れている物がある。アーク放電火災を対象としていない。 

(7)III-2-3.(2)火災防護対象設備における

  火災の発生防止(p16) 

 記載されている内容に大きな誤りがある。 

(8)III-3.1基準地震動(p27) 

 「基準地震動」(700ガル)は過小評価。

 

(9)III-3.1基準地震動(p27) 

 重要な断層「六ヶ所断層」を無視している。 

10)III-5津波による損傷の防止(第8条関係)(p61) 

  施設に影響を与える津波想定が、事実上存在しない。 

               ()に続く 

着情報 2020.5.21

8.政府は間違いを認めて政策を転換すべき

  この新型コロナウイルス感染症が非常に危険であることを知るのは、少なくても3月以降であろう。これより早い対応は難しかったと思われる。 

 責任を負うべき者は他にもある。「豪華客船が新型コロナウイルスの培養器になっていると考える証拠が十分そろっていたにもかかわらず、世界中のクルーズ船を運行する会社は乗客で満員にして船上の人々を危険にさらし続け、新型コロナが世界に拡散し続ける一因を作っていた。」(ウオールストリートジャーナル5月5日) 

 そのうちの一隻が横浜港で大きな事件を起こしたダイヤモンド・プリンセス号である。 

 日本のコロナ対策は最初は、クラスター対策から始まった。「帰国者・接触者相談センター」を中心に感染者とその周辺を徹底して叩けば収束できると考えた。それは一定の成果を上げ、後に感染研による遺伝子解析から、初期に広がった「武漢由来」のウイルスはほぼ征圧していたことがわかたという。クルーズ船はまた別の変異をしたウイルスだった可能性があるが、これも捕捉していた。 

 ところが主に帰国者からもたらされた「欧州型」のウイルスは検疫をすり抜けて国内で感染が広がっていた。それが3月下旬から4月12日 頃にかけての感染者の急激な増加をもたらした。 

 この欧州型は武漢型とは比べものにならないほど感染力が強く、あっという間に広がった。これは欧米の感染拡大を見ればわかったことだ。 

 クラスター対策で持ちこたえている間に、帰国者を中心に感染の可能性のある海外からの入国者を2週間隔離すると共に軽症者の滞在場所を作ることと、市中感染対策としてのPCR検査体制を構築する必要があったと思う。 

 軽症または無症状なのに病院のベッドを使ってしまうと、重症患者を収容できなくなること、だからといって自宅待機をさせると家族間感染を引き起こし、あるいは数時間で重体化する変化の激しいこの病に対処しきれないことなどは、先行する海外事例を観察していれば分かることで、専門家はぞれぞれの立場から危険性を主張していた。これを差配するのは政治の役割だったのだが、残念ながら「無策」だった。 

 軽症者を収容しながら医療措置も準備するセンターが日本でも作られたのはごく最近のこと。「体育館に100人分コロナ病床設置日本財団がお台場に」(朝日新聞5月1日)。未だ運用もしていない。これだけ変化の激しい感染症対策だから、初動に失敗したことは責められない。 

 もっとも、今も失敗し続けているブラジルや米国の一部の州は責められてしかるべきだが、韓国も英仏も最初は失敗した。その後に方針を転換して医療崩壊を防ぐことに成功した。 

 しかし日本は今も、どっちを向いているのかはっきりしない。 間違いを認めて方針転換する勇気が見られない。また、政策転換をしたら朝令暮改と批判されるのは、転換する理由をはっきり示さないからに他ならない。 

 

9.集団免疫でコロナは対処できるか 

    現段階では集団免疫が解決になる保証はない   来年もオリンピックのために間違った対策を取る恐れ 1年延期したオリンピックはどうなるか。 

 希望的観測として、ワクチン開発が秋までに成功したとしても、治験を経て大量摂取が可能になるには更に1年以上かかると思う。政府は、ワクチン路線では短期決戦に合わないから、残された道は集団免疫の獲得しかないとの方針だと考えられる。集団免疫を獲得すれば、その集団に守られて非罹者のハイリスク集団の安全も守ることが出来るという考え方だ。世界でも活動縮小などをしない国がある。スウェーデンである。これに習おうとして、中途半端に取り組み失敗したのが英国だった。

 一方で、必ずしも明確ではないもののブラジルのボルソナロ大統領もロックダウンなどはせず経済活動を縮小しないとする。では、それで解決できるのだろうか。 

 「新型コロナウイルスへの抗体が仮にできたとしても、その人が複数感染する可能性がないかどうか、まだ分からない。水ぼうそうやはしかを引き起こすウイルスなどは感染後に一生免疫がつくとされるが、エイズウイルス(HIV)は感染しても通常免疫がつくことはない。 

 新型コロナウイルスの感染に対する体内の免疫反応についてはまだほとんど解明されておらず、全容が明らかになるにはしばらく時間がかかると専門家は述べている」(4月15日付ブルームバーグ)。 

 現段階では集団免疫が解決になる保証はない。免疫が持続する期間も分かっていない。「ハーバード大学の研究 チームが米科学誌サイエンス電子版で発表した論文によると、このウイルスの仲間には、カゼの原因となるウイルスや、重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスなどがあるが、カゼの場合は免疫が短期間で弱まる一方、SARSの場合は免疫が長く続くとの見方があるという。」(日経ビジネス4月28日) 

 これでは来年のオリンピックまでに解決する見通しなどない。オリンピック開催に都合が悪いから日本のコロナ対策が後手になったとしたら、来年もオリンピックを開催したいがために、間違った対策を取る恐れがあるので警戒と監視が必要だ。

 

10.そして何より優先されるべきは情報公開 

  国の無策は情報を公開したらたちまちばれる-だから政府は公開しない

 日本は情報を公開しない。なんであってもしない。説明責任も果たさない。国会で説明すると約束しても、説明しない。このウイルスは何者なのか、今のところ分からないから、そのことを 

説明しろと言っても難しい。問題はそこではなく、学校を休校するにしても、PCR検査をしないことにしても、検査スクリーニングを極めて限定していることも、まともに説明されない。 

 例えばPCR検査をしないことについては「病院のベッドをふさがないため」という指摘があった。政府からではない、医療関係者からの指摘だった。(NHK4月28日など) 

 「政府はこれまで、感染者の行動を追跡し、濃厚接触者を特定するクラスター(感染集団)対策に注力してきた。感染の有無を確認するPCR検査の対象は、保健所などの窓口が必要と判断した人に

限っていた。」「背景には、当初、日本の検査能力が不十分だったことがある。感染者用の病床も限られていたため、広く検査の網をかけて陽性者が増えれば、軽症患者らで病院があふれる事態が懸念された。」(読売新聞社説4月22日)  いずれも政府(首相)の国民への説明ではなく、報道からだった。  

 しかしこれらは先にも述べたとおり、3月末までの感染状況には対応できる体制だったが、そうやって「時間を稼いで」いる間に、軽症者・無症状者に対応できる大規模な待機所確保とセットにして検査体制を充実させるべきだったが、それが出来ない理由は説明されていない。むしろ体制を準備中との国会答弁や報道だけが虚しく流れていた。 

 情報を公開しない体質は、政権独自のものではなく日本の官僚機構そのものが内在するものだから、政治が変えなければならない。しかし情報非公開を政権維持の道具にしてきたため、何が悪いのかすら認識できなくなっていた。 

 新型コロナウイルス感染症の対応に失敗し、国内で緊急事態宣言を出さざるを得なくなった安倍政権は、その後も後手に回る対応の悪さと現場の疲弊、崩壊に対する責任は専門家会議に丸投げして実態を見ぬ ふりし、政府がすべき施策、例えば自治体がパンクする前の段階で全国に相談センターを、保健所に回さないで設置するべきだった。 

 保健所を通したため、まずここがパンクし、さらに救急搬送が断られる事態から医療に繋げない重症者が生じた。これについても情報を収集分析している気配もない。(自治体は行っているが) 

 国の無策は情報を公開したらたちまちばれる。だから公開しない。 原子力も防衛も全て同じだ。

 

 着情報 2020.5.19

6.損失補償や生活支援窓口のありかたを変えるべき 日本は欧米とは異なり強制的な都市封鎖ロックダウンは法的には行えないし新たな立法措置で作るべきでもない。 

 あくまでも新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「自粛要請」であり、それを有効に機能させるためには補償は欠かせない。 

 「自粛要請」をした東京都の小池百合子知事は4月3日の記者会見で緊急融資の申請が当初見込みの248億円から1200億円に急増したこと明らかにしているが、これは「要請に見合った対応」が求められた結果であり、当然であり、未だ足りない。 

 ところが安倍首相は「自粛要請」への「補償」は一切しないと繰り返した。名目などは何でも良いのだが、一言「保証の位置づけ」と説明して資金を提供すれば混乱は回避できたはずだ。 

 しかし今存在する各種の手続きは難解至極である。例えば助成金についても極めて難解で「小規模事業者持続化補助金」(中小企業基盤整備機構)「雇用調整助成金」(ハローワーク)など、果たして対象になるかも含めわかりにくいことこの上ない。無条件で1人一律10万円の「生活支援給付金」は紆余曲折の上で決まったが、これは市区町村への申請だ。 

 マイナンバーカードを持っていればインターネットを使って申請が出来るなどと余計な方法を宣伝したため、各地で混乱が続いている。

 例えば「暗証番号を忘れた」「カードを作りたい」いずれも直ぐに対応など出来ない市町村窓口では長蛇の列で長い待ち時間。何のための「電子申請」か分からなくなっている。これならば郵送で

文書を出したほうがはるかに早いし正確だ。そもそもマイナンバー制度そのものが、国民総背番号制を背景に税や社会保障制度を一元的に紐付け、政府が管理できる制度として作られたため、個人の権利を侵害するとして根強い反対があり、未だに基本的には行政の内部処理でしか使われていない。個人が活用できるのは僅かに確定申告を電子申告出来る程度だ。これも実はマイナンバーカードがなくても出来る方法はある。 

 国民生活にとっておよそ何ら必要もないカードを突如使えることにしたのは、国の「電子政府構想」の失敗を「このあたりで挽回しよう」という怪しい企みからだが、10万円を早く手にできるというデマ宣伝に乗って窓口に並ばされた国民こそ、いい迷惑である。 

 ちなみに総務省のITC(インフォメーション・テクノロジー・コミュニケーション…情報通信技術)予算の中の「Society5.0を支えるITCインフラ整備1,947.2億円+事項要求」では、実に1800億円以上がマイナンバーカードの普及と事業拡大予算だ。アベノマスクどころではない巨額の資金が投じられていることにも注意を向けてもらいたい。 

 なお、「事項要求」とはマイナンバーカードに紐付けられたマイナポイント事業に掛かるポイント還元予算で、これは実績支払いなので金額が入っていない。最大1人5000円とされるが、今の普及率15%に最大5000円を掛けると960億円になる。こんなバカげた制度も、決まった事業なので今年から始まる。 

 今話題になっている家賃補助についても、実は「住居確保給付金」という制度が既にある。これは事業用のものではなく個人の住居だけだ。それでも「解雇や廃業等で収入がなく家を追い出される」といった緊急時には活用できる。市区町村の生活支援窓口が担当だが、これもあまり知られていない。 

 このような状況下でこそマイナンバーなど関係なくITCを使った「ワンストップサービス」とすべきなのだが、むしろますます細分化の様相になっている。

 この他にも金融機関を通じた実質無利子融資などもあるのだが、一体何処に相談すべきか迷うだけだ。市区町村の窓口ではこのうちのごく一部しか扱えないうえ窓口もバラバラだ。 

 3.11震災時の被災者支援法制とはずいぶん様相が異なるのは、当時は災害対策の司令塔がちゃんと政府に存在したからだ。今はそれすらも存在しない。自治体の窓口もハローワークも当然ながらパンクしている。行政改革の影響で公務員数は激減し、窓口は多くが委託されており新しい事業には対応できない。そのため少ない公務員が何でもしなければならない自治体が続出している。 

 このようなものこそ、社会保険労務士や行政書士、税理士、弁護士団体に委託し、相談窓口を日本全国何千箇所もつくりワンストップで必要な申請が全部出来るようにすべきだ。 これは国と都道府県の仕事だ。

 

7.PCR検査体制の確立は急務   医療、介護現場が最優先、加えてハイリスクな人々を守るために

 やる気になり、ちゃんと態勢を整えれば、日本でもPCR検査は増やせる。フランス政府は日本製のオンラインPCR検査装置がフランスの検査体制を支えているとして、在仏日本大使館に感謝状を

 贈った。いや、なぜ外国でだけ日本製全自動PCR検査装置が存在し、使用されているのか。誰か説明して欲しいのだが、この点について納得のいく説明を聞いたことがない。 

 一定規模のPCR検査を行わなかったら実態に近い陽性率は出ない。市中感染の規模と構造が分からなければ自粛要請も解除する根拠も出てこない。 

 このままずるずる根拠薄弱に「自粛」を続ければ個人事業から崩壊していくことは火を見るより明らかだ。PCR検査は「私は感染しているか知りたい」からするのではない。多くの医療関係者が繰り返し言うとおり、医療崩壊を防ぎ重症化を防止する観点から実施しなければならない 

 今起きている最大の危機は、重症患者を入院させるベッド数が逼迫し始めていることだ。 

 さらに重症化しやすい基礎疾患等のリスクを持っている人や高齢者に感染させない取り組みが重要だが、そのためにはこれらの人々が入っている病院や施設で感染を発生させない努力が重要である。

  つまりPCR検査体制は医療、介護現場が最優先で、加えてハイリスクな人々を守るために使うべきである。 

 また、発熱や倦怠感などの症状を自覚した段階で、できる限り検査し、陽性者を一般病院に行かないようにする対応も必要だ。それをしないから医師や看護師が感染する。呼吸器系疾患で救急車を 

呼んでも、受け入れる病院がないという事態さえ発生するのは、医療側の自己防衛だ。これもまた検査されていない弊害だ。 

 これらを実現するためには、保健所の「帰国者・接触者相談センター」を窓口にする体制では持たないのは誰が見てもわかる。直ぐに直接検査に繋がる「発熱外来」または「集中検査センター」 

が必要だったのだ。今になってようやく設置する動きが進んでいるが、世論の圧力が一定の功を奏したのであろう。しかしこれも使い方を誤れば、この作業をする人々がパンクしてしまう。人手で行う限り、検査実数は現状以上増やすことは難しいだろう。熟練者は無限にいるわけがない。 

 安倍首相が答弁する度に倍々に増える(50001200020000増えていった)検査件数など、あり得ないというほかない。今の体制では現状の9000件程度が限界なのだ。なのでこんどは抗体検査を導入するなどと言い始めているようだが、これは別の観点からの検査であり、同一視することは危険だし無意味である。 

 秋にも第二波が来るだろう。立て直しは急務だ。 検査拡大を実現した実例は世界中にいくらでもある。それに学べ。 (その4)に続く

 着情報 2020.5.17

4.日本でのコロナ感染の特徴 PCR検査の実施件数が少ない国民の衛生管理意識の違い 

 日本では公表される感染者数が諸外国に比べても少ない。日本への出入りの多さからは奇妙なことだが、その理由の1つはPCR検査の実施件数が少ないからだ。 

 しかし一方で、そうそう隠せない「死者の少なさ」「医療施設に搬送される重症患者の少なさ」は確かに存在する特長だ。 

 「超過死亡者」のデータを見ると過去の感染症流行特にインフルエンザの流行に伴う肺炎死者数の増加が、他の年に比べて2月初旬が高く、その後急速に低下している傾向が見られる。 

 実際には新型コロナウイルス感染症とはカウントされていない死者があり得るとは思う。しかしそれが何千人にもなることは考えられない。(多く見積もっても100人ほど) 

 そうなると日本が他の欧米諸国に比べて重症化する人や死亡者が少ないのかを説明しなければならないが、その理由は今の段階ではよくわからない。 

 ワイドショーなどでは「結核ワクチンのBCG接種によって自然免疫が鍛えられた」などという説もあるが、それはどうだろうか。 検証の価値はあると思うが根拠に乏しい。むしろそんな話題で大人が今さらBCG接種に走る方が危険である。むしろ、日本と諸外国で最も大きな違いは衛生管理意識の違いだ。こちらのほうがありそうなことだと思う。 

 日本ではこの季節、インフルエンザの流行と花粉症が重なる。そのため特に都市部では半分近い人がマスクを使用し、手洗いや消毒に気を使う。また、日本の習慣は土足のまま家には入らない。必ず三和土(たたき)靴を脱ぎ、コートなども脱ぐことが多い。花粉症の人は特に気を使い玄関の外で脱いで叩き、家には畳んで持ち込む人も多い。これらは新型コロナウイルス感染症対策にも有効だ。 

 マスクは感染症防止には役に立たないと初期にはWHOが言った。しかし「人に感染させない」効果は高い。これが感染爆発を抑制した効果は大きいだろう。 

 日本の感染者の多くは無症状か軽症なので、重症化する患者を早期発見して治療できる態勢を構築するのは戦略として間違ってはいないが、日本の病院や老健施設で起きている院内感染や施設内クラスターの発生は、基本的対策に失敗したことが原因だ。これについて施設側を責めるのは酷だ。外来者全部が感染者だとの想定で対処することは、日頃の狭隘さと混雑状況や人手不足で、よほど恵まれ

 たところでもなければ難しい。それに加えて検査件数の極端な不足は、誰が感染しているかも分からないままに搬送される状況さえ生み出している。 

 その責任はクラスター叩きにのみ資源を集中し、市中感染が確認されてもなおそれに拘った政府の対策にある。 

 

5.COVID-19は生物兵器? 

 COVID-19が生物兵器として開発されたとの出所不明な情報がネットで飛び交っている。米軍が作った、中国軍が作ったとの「説」である。 実態はどうなのか。

 少なくてもまともな論文では、COVID-19が人工生成物であるとの主張は否定されている。ネイチャーメディスン3月17日付けの論文だ。 

 ここでは実験室での遺伝子組み換えにより生成した可能性はほとんどないとし、このウイルスについて「2つのシナリオを提案します。

(i)人 獣共通感染での動物宿主における自然淘汰(自然発生的遺伝子組み換え)。 

(ii)人畜共通感染後のヒトの体内での自然淘汰」として発生原因を考察している。 

 「広東省に不法に輸入されたマレーのセンザンコウ」が有力と見ている。 

 また、この論文では「誤って実験室から放出された可能性を検討」している。 

 そこでは、このウィルスには培養された形跡が見たらならないことや「証拠はこのウイルスが意図的に操作されたものではないことを示している」ことを説明している。 

 この論文の著者は米英の大学などの研究者である。 

 一本の論文だけで結論づけるのは早計だと思われるかも知れないが、生物兵器であることを示す論説は全て状況証拠のような話ばかり。いまのところ実証したものは一つもない。(その3)に続く 

 着情報 2020.5.16

.新型コロナウイルス感染症

 早期対処に成功した台湾 大規模検査体制で感染を封じ込めた韓国

 日本は初動対応に遅れ   (その1)(4回の連載)

  山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 

見出し紹介

1.早期対処に成功した台湾

  ・蔡英文政権に能力のある人材がいた

  ・意志決定から実行までの仕組みが整理されていた

  ・過去の感染症の経験が生きていた

2.大規模検査体制で感染を封じ込めた韓国

  ・軽症、無症状者の待機場所を確保、

   重症者のみを医療施設に送る

3.日本は初動対応に遅れ

4.日本でのコロナ感染の特徴 PCR検査の実施件数が少ない

  国民の衛生管理意識の違い

5.COVID-19は生物兵器?

6.損失保証や生活支援窓口のありかたを変えるべき

7.PCR検査体制の確立は急務

    医療、介護現場が最優先、加えてハイリスクな人々を守るために

8.政府は間違いを認めて政策を転換すべき

9.集団免疫でコロナは対処できるか

    現段階では集団免疫が解決になる保証はない

    来年もオリンピックのために間違った対策を取る恐れ

10.そして何より優先されるべきは情報公開

  国の無策は情報を公開したらたちまちばれる-だから政府は公開しない

 「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)パンデミックCOVID-19が、人から人への感染を引き起こすことが確認されたのは1月18日、最初の死者が中国で報告されたのは2月3日。漢で感染爆発が起こるのは1月21日ごろ。この時点までは世界では、脅威の実態は見えていなかった。 

 

1.早期対処に成功した台湾

  ・蔡英文政権に能力のある人材がいた

  ・意志決定から実行までの仕組みが整理されていた 

  ・過去の感染症の経験が生きていた 

朝日新聞4月11日の記事で、昨年末、新型コロナウイルス感染症について台湾がWHOに対し「中国・武漢で特殊な肺炎が発生し、患者が隔離治療を受けている」との情報を伝え、警戒を呼びか   けていたと報じていた。当時は誰も知らなかったし、この段階では、誰も今日を予想することは出来なかった。従って、昨年から対策を準備することは台湾以外では困難だったと思われる。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の経験も乏しい日本では、想像することは難しいが、WHOが台湾の 情報を生かしていれば、感染拡大に早く対処できたとの陳時中・衛生福利部長(大臣)の指摘は日本にも当てはまる。

これに素早く対処できたのは、蔡英文政権に能力のある人材がいたことと、意志決定から実行までの仕組みが整理されていたこと、過去の染症の経験が生きていたことが挙げられている。

 

2.大規模検査体制で感染を封じ込めた韓国 

  ・軽症、無症状者の待機場所を確保、重症者のみを医療施設に送る 

韓国では文在寅大統領が緊急事態宣言を行ったのが3月23日。「ウイルスの蔓延は危険な段階に達しており、今後数日間は非常に重要となる」と語った。この時点での感染者数は556人で死者は5人だった。韓国では日本同様都市のロックダウンは行っていない。しかしGPSの位置情報を使った個人行動記録を駆使しての感染拡大対策が取られていた。これは日本では不可能な取り組みだったであろう。しかしもう一つ重要な対策があった。医療崩壊を回避するため、大規模なPCR検査と軽症、無症状者の待機場所をいち早く確保し、重症者のみを医療施設に送る体制が整っていた。PCR検査の数だけでも日韓では10倍の開きがある。これでは日本では検査体制からの対策を構築しようがない。韓国の場合も過去の経験に学んでいた、3月4日にいったんは収束宣言をした韓国政府が、大邱で発生した宗教団体の感染爆発に対し素早い立て直しに成功し再度感染を抑えたことも重要である。

 保守派が政府の自粛要請を拒否して大規模集会を開き政権批判を展開したのに対し、文政権の与党「共に民主党」は4月の総選挙で300議席中180議席を獲得した。1987年の民主化以降、総選挙で単独の政党が獲得した議席は150議席余りが最多だったから、歴史的大勝をしたのも対策に成功したからだ。(ニューズウィーク4月20日) 

しかし徴兵制があり国民主権が制限され、朝鮮戦争「休戦下」で戦時体制にすぐに移行することが可能な国と日本で同じことは出来ないし、するべきでもない。良い点は取り入れ、悪い(合わない)点は真似しない。それだけのことだ。 

 

3.日本は初動対応に遅れ日本で初めての死者が確認されたのは2月13日。神奈川県の80代 

女性で渡航歴はなし。1月22日に倦怠感を感じ、28日に受診したが医師から経過観察を指示された。しかし容体が悪化したため、再検査で肺炎と診断され別の医療機関に入院。2月6日にはさらに転院し、12日になって始めて検査を受けたが、翌13日に死亡した。その後、陽性が判明している。 

   (朝日2月13日) 

その後の14日の政府対策本部で、ようやく専門家会議を新たに設置し対応強化の方針が首相から明らかにされた、外務大臣により渡航中止勧告地域の拡大が発表された(ブルームバーグ2月14日)緊急事態宣言は、ほぼ2ヶ月後の4月6日だった。 

驚くことに日本は一切何処の国の対策とも異なる道を歩んでいる。「独自路線」と政府は言うが、学ぶ能力も気力もないのだと思う。封じ込めに成功した台湾や韓国あるいはニュージーランドの初期対応を冷ややかに見つめて「何もしない」のが日本だ。

せめて遅きに失したとはいえ渡航制限や入国者の検疫くらいは真面目にしていたのかというと、実態は何もしていない。マスコミもクルーズ船のドタバタ対応に目を奪われ、国内医療体制の構築遅れや「帰国者・接触者相談センター」の脆弱さ(保健所ははじめからパンクしていた)や無症状感染者の入院、滞在施設の不存在などには気がついていない。 

 韓国では3月2日の段階で、病院とは別の隔離施設で軽症者の受け入れを開始した。それが「生活治療センター」であり延べ1万人以上を収容し、病院ベッドへの集中を回避した。(ニューズウィーク) 

 これに対して日本は優先診療(トリアージ)さえまんぞくに出来ず、重症者を医療に繋げられないまま犠牲者を出しただけでなく、軽症や無症状感染者を管理できずに犠牲者が出た。これは大失態である。現在も体制は十分ではない。なにしろ特に都市部では電話回線がパンクしており保健所に電話が繋がることさえ難しいのである。日本財団は船の科学館と旧つくば研究所(茨城県つくば市)の跡地内に一時滞在施設を建設中だ。韓国のそれと同様に1万床を目指しているが、これは人件費を含めて全額日本財団の資金で行われており政府の予算は付いていない。(東洋経済4月7日) 

これが日本の対策の実態だ。(その2)に続く 

着情報 2020.1.23 

東京電力による日本原電への2200億円援助は理不尽

 東京電力に原電支援をさせない方法地方自治体への働きかけを強めることから 

東海第二原発再稼働を認めない世論形成を続けていきたい

 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

◎ 日本原電への資金支援は、規制基準適合性審査において明文化された1740億円ではなく、特定重大事故等対処施設610億円を含む「安全対策費用を含め」3500億円に膨れ上がった。

 このうち約8割に相当する2900億円を東京電力と東北電力が負担すると報じられた。東京電力は2200億円、東北電力は600億円相当になるものと見られるが、具体的な数値は一切明示されていない。

 報道された数値についても東京電力は確認を拒否し続けている。

 なお、残った2割、約700億円は関電、中電、北陸電力が負担すると考えられている。

◎ 東京電力以外は、債務保証になるものと見られるが、東電だけは債務保証が何処の金融機関も受け入れないため、電気料金の前払いになる。

 これについては東京電力は認めているので、この先何年間か、受電する見込みでキロワット単価を受電見込み電力に掛けて、前払いをおこなうと考えられている。

  東京電力はこれまでも2011年から2018年度まで1kWhも受電していない日本原電に3728億円もの巨額な資金提供をしてきた。 これは「設備維持管理契約に基づく基本料金」(*)である。

なお、原電に支払う料金には「従量電力量料金」があるので、これを加えて「卸売電力量料金」としている。

  この料金の内、「従量電気料金」分について「前払い」することにより「資金提供」を行うこととしたのである。

  *東京電力はこれを「プラントの安全維持ならびに再稼働および廃止措置、いずれにも必要な最小限の費用に限定した金額を、安全の確保を最優先に、その妥当性を原子力部門等で精査し、議論を行ったうえで契約しており」としている。

  料金の支払い契約は複雑化していて、2016年以降は東電EP(エナジー パートナー・電気ガス小売会社)が基本料金を払っている。

  一方、東電PG(パワーグリッド・発送電会社)が「バックエンド過去分(使用済燃料再処理等既発電費)を託送回収の上、発電事業者へ支払うことが適当とされていることから、費用を負担」しているとし、原電へ支払っている。

 おそらく「東電PGから原電への4.84億円の固定支払額」がそれに相当する。これも原電の原発費用である。

  今後、資金支援として前払い料金を支払うとすれば「東電EPとしては、買電契約において電気を受電するための対価を支払って」いるので、日本原電に対して前払い料金は東電EPが支払うことになるという。

  これらの決定については、唯一公表されたのが「1028日に東電HD(ホールディングス)の取締役会で決定」との記者会見での永澤昌常務取締役による口頭での説明だけだ。

 3500億円に上る東海第二原発への資金支援について、およそ2200億円もの費用を負担することを決定したのは東電HDだが、それを実際に支払うのは東電EP。そこに丸投げした形であるが、東電EPも株式会社(100%東電子会社)だから、意志決定は取締役会でなされたはず。

 ところが東電原子力センターは市民との話し合いで「いつ、いかなる決定を東電EPが行ったかは経営上の秘密」として回答を拒否した。

記者会見等での同様の質問も回答を拒否しているようだ。

  東電株主による違法行為差し止め訴訟の原告は『東電HD株主の

声を届かせないための究極の脱法行為と言えるでしょう。会社分離のテクニックの離れ業です。

「桜を見る会」における、黒を白と言いくるめる逃れ手口がここでも。』と9月19日の第一回口頭弁論の後に開かれた記者会見で批判している。

  『日本原子力発電の村松衛社長は9日、水戸市内で記者団の取材に応じ、2021年3月までの予定で進めている東海第二原発(茨城県東海村)の安全対策工事について「期限までの完成は難しいと判断

している。工程の見直しも含めて検討したい」と述べた。

ただ、工事終了時期の見通しに言及しなかったものの、工事の遅れが再稼働時期に影響はしないとの考えも示した。』        (毎日新聞1月8日)

東京電力に原電支援をさせない方法…都庁へ働きかける◎ 東京電力は資金支援の方法として「電気料金の前払い」をおこなうこととした。その支払いを東電EPが行う。その決定を誰が、何時したのかを問うたら、それは経営上の秘密事項だとして回答しなかった。

 つまり抜け道として分社化した東電EPを使っている。東電経営陣の責任を追及された場合の逃げ道だ。それを許してはならない。

◎ 東電HDの大株主は東京都。これに対して東電の資金支援を認めないよう働きかけることは重要だろう。

 また、東電との関係としては、株主になっている地方自治体もあるので、それに対しても働きかけることは意味があることだ。

 また、東海第二原発の避難計画を作るのは地方自治体であり、避難先とされているのも地方自治体だから、双方に対して事故時の影響、本当に避難できるのか、するのか、避難者を受け入れることが

出来るのか、生活を維持し被災者への十分なケアが出来るのかが

問われる。

◎ 自然災害ですら不十分な避難態勢に対し厳しい指摘が続いている。

まして人災である原子力災害に巨額の税金を使い多くの職員を動員するなど論外であろう。

 自然災害と一緒に起きた場合の悲惨な状態を考えるならば、そのような防災計画を作ることも躊躇し、拒否すべきことではないのか。

 これらをも含め、地方自治体への働きかけを強めることから、再稼働を認めない世論形成を続けていきたい。    (初出:月刊たんぽぽニュース、2020年1月号No289)

着情報 2020.1.23 

東京電力による日本原電への2200億円援助は理不尽

 東京電力に原電支援をさせない方法地方自治体への働きかけを強めることから 

東海第二原発再稼働を認めない世論形成を続けていきたい

 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

◎ 日本原電への資金支援は、規制基準適合性審査において明文化された1740億円ではなく、特定重大事故等対処施設610億円を含む「安全対策費用を含め」3500億円に膨れ上がった。

 このうち約8割に相当する2900億円を東京電力と東北電力が負担すると報じられた。東京電力は2200億円、東北電力は600億円相当になるものと見られるが、具体的な数値は一切明示されていない。

 報道された数値についても東京電力は確認を拒否し続けている。

 なお、残った2割、約700億円は関電、中電、北陸電力が負担すると考えられている。

◎ 東京電力以外は、債務保証になるものと見られるが、東電だけは債務保証が何処の金融機関も受け入れないため、電気料金の前払いになる。

 これについては東京電力は認めているので、この先何年間か、受電する見込みでキロワット単価を受電見込み電力に掛けて、前払いをおこなうと考えられている。

  東京電力はこれまでも2011年から2018年度まで1kWhも受電していない日本原電に3728億円もの巨額な資金提供をしてきた。 これは「設備維持管理契約に基づく基本料金」(*)である。

なお、原電に支払う料金には「従量電力量料金」があるので、これを加えて「卸売電力量料金」としている。

  この料金の内、「従量電気料金」分について「前払い」することにより「資金提供」を行うこととしたのである。

  *東京電力はこれを「プラントの安全維持ならびに再稼働および廃止措置、いずれにも必要な最小限の費用に限定した金額を、安全の確保を最優先に、その妥当性を原子力部門等で精査し、議論を行ったうえで契約しており」としている。

  料金の支払い契約は複雑化していて、2016年以降は東電EP(エナジー パートナー・電気ガス小売会社)が基本料金を払っている。

  一方、東電PG(パワーグリッド・発送電会社)が「バックエンド過去分(使用済燃料再処理等既発電費)を託送回収の上、発電事業者へ支払うことが適当とされていることから、費用を負担」しているとし、原電へ支払っている。

 おそらく「東電PGから原電への4.84億円の固定支払額」がそれに相当する。これも原電の原発費用である。

  今後、資金支援として前払い料金を支払うとすれば「東電EPとしては、買電契約において電気を受電するための対価を支払って」いるので、日本原電に対して前払い料金は東電EPが支払うことになるという。

  これらの決定については、唯一公表されたのが「1028日に東電HD(ホールディングス)の取締役会で決定」との記者会見での永澤昌常務取締役による口頭での説明だけだ。

 3500億円に上る東海第二原発への資金支援について、およそ2200億円もの費用を負担することを決定したのは東電HDだが、それを実際に支払うのは東電EP。そこに丸投げした形であるが、東電EPも株式会社(100%東電子会社)だから、意志決定は取締役会でなされたはず。

 ところが東電原子力センターは市民との話し合いで「いつ、いかなる決定を東電EPが行ったかは経営上の秘密」として回答を拒否した。

記者会見等での同様の質問も回答を拒否しているようだ。

  東電株主による違法行為差し止め訴訟の原告は『東電HD株主の

声を届かせないための究極の脱法行為と言えるでしょう。会社分離のテクニックの離れ業です。

「桜を見る会」における、黒を白と言いくるめる逃れ手口がここでも。』と9月19日の第一回口頭弁論の後に開かれた記者会見で批判している。

  『日本原子力発電の村松衛社長は9日、水戸市内で記者団の取材に応じ、2021年3月までの予定で進めている東海第二原発(茨城県東海村)の安全対策工事について「期限までの完成は難しいと判断

している。工程の見直しも含めて検討したい」と述べた。

ただ、工事終了時期の見通しに言及しなかったものの、工事の遅れが再稼働時期に影響はしないとの考えも示した。』        (毎日新聞1月8日)

東京電力に原電支援をさせない方法…都庁へ働きかける◎ 東京電力は資金支援の方法として「電気料金の前払い」をおこなうこととした。その支払いを東電EPが行う。その決定を誰が、何時したのかを問うたら、それは経営上の秘密事項だとして回答しなかった。

 つまり抜け道として分社化した東電EPを使っている。東電経営陣の責任を追及された場合の逃げ道だ。それを許してはならない。

◎ 東電HDの大株主は東京都。これに対して東電の資金支援を認めないよう働きかけることは重要だろう。

 また、東電との関係としては、株主になっている地方自治体もあるので、それに対しても働きかけることは意味があることだ。

 また、東海第二原発の避難計画を作るのは地方自治体であり、避難先とされているのも地方自治体だから、双方に対して事故時の影響、本当に避難できるのか、するのか、避難者を受け入れることが

出来るのか、生活を維持し被災者への十分なケアが出来るのかが

問われる。

◎ 自然災害ですら不十分な避難態勢に対し厳しい指摘が続いている。

まして人災である原子力災害に巨額の税金を使い多くの職員を動員するなど論外であろう。

 自然災害と一緒に起きた場合の悲惨な状態を考えるならば、そのような防災計画を作ることも躊躇し、拒否すべきことではないのか。

 これらをも含め、地方自治体への働きかけを強めることから、再稼働を認めない世論形成を続けていきたい。    (初出:月刊たんぽぽニュース、2020年1月号No289)