着情報 2020.1.23 

東京電力による日本原電への2200億円援助は理不尽

 東京電力に原電支援をさせない方法地方自治体への働きかけを強めることから 

東海第二原発再稼働を認めない世論形成を続けていきたい

 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

◎ 日本原電への資金支援は、規制基準適合性審査において明文化された1740億円ではなく、特定重大事故等対処施設610億円を含む「安全対策費用を含め」3500億円に膨れ上がった。

 このうち約8割に相当する2900億円を東京電力と東北電力が負担すると報じられた。東京電力は2200億円、東北電力は600億円相当になるものと見られるが、具体的な数値は一切明示されていない。

 報道された数値についても東京電力は確認を拒否し続けている。

 なお、残った2割、約700億円は関電、中電、北陸電力が負担すると考えられている。

◎ 東京電力以外は、債務保証になるものと見られるが、東電だけは債務保証が何処の金融機関も受け入れないため、電気料金の前払いになる。

 これについては東京電力は認めているので、この先何年間か、受電する見込みでキロワット単価を受電見込み電力に掛けて、前払いをおこなうと考えられている。

  東京電力はこれまでも2011年から2018年度まで1kWhも受電していない日本原電に3728億円もの巨額な資金提供をしてきた。 これは「設備維持管理契約に基づく基本料金」(*)である。

なお、原電に支払う料金には「従量電力量料金」があるので、これを加えて「卸売電力量料金」としている。

  この料金の内、「従量電気料金」分について「前払い」することにより「資金提供」を行うこととしたのである。

  *東京電力はこれを「プラントの安全維持ならびに再稼働および廃止措置、いずれにも必要な最小限の費用に限定した金額を、安全の確保を最優先に、その妥当性を原子力部門等で精査し、議論を行ったうえで契約しており」としている。

  料金の支払い契約は複雑化していて、2016年以降は東電EP(エナジー パートナー・電気ガス小売会社)が基本料金を払っている。

  一方、東電PG(パワーグリッド・発送電会社)が「バックエンド過去分(使用済燃料再処理等既発電費)を託送回収の上、発電事業者へ支払うことが適当とされていることから、費用を負担」しているとし、原電へ支払っている。

 おそらく「東電PGから原電への4.84億円の固定支払額」がそれに相当する。これも原電の原発費用である。

  今後、資金支援として前払い料金を支払うとすれば「東電EPとしては、買電契約において電気を受電するための対価を支払って」いるので、日本原電に対して前払い料金は東電EPが支払うことになるという。

  これらの決定については、唯一公表されたのが「1028日に東電HD(ホールディングス)の取締役会で決定」との記者会見での永澤昌常務取締役による口頭での説明だけだ。

 3500億円に上る東海第二原発への資金支援について、およそ2200億円もの費用を負担することを決定したのは東電HDだが、それを実際に支払うのは東電EP。そこに丸投げした形であるが、東電EPも株式会社(100%東電子会社)だから、意志決定は取締役会でなされたはず。

 ところが東電原子力センターは市民との話し合いで「いつ、いかなる決定を東電EPが行ったかは経営上の秘密」として回答を拒否した。

記者会見等での同様の質問も回答を拒否しているようだ。

  東電株主による違法行為差し止め訴訟の原告は『東電HD株主の

声を届かせないための究極の脱法行為と言えるでしょう。会社分離のテクニックの離れ業です。

「桜を見る会」における、黒を白と言いくるめる逃れ手口がここでも。』と9月19日の第一回口頭弁論の後に開かれた記者会見で批判している。

  『日本原子力発電の村松衛社長は9日、水戸市内で記者団の取材に応じ、2021年3月までの予定で進めている東海第二原発(茨城県東海村)の安全対策工事について「期限までの完成は難しいと判断

している。工程の見直しも含めて検討したい」と述べた。

ただ、工事終了時期の見通しに言及しなかったものの、工事の遅れが再稼働時期に影響はしないとの考えも示した。』        (毎日新聞1月8日)

東京電力に原電支援をさせない方法…都庁へ働きかける◎ 東京電力は資金支援の方法として「電気料金の前払い」をおこなうこととした。その支払いを東電EPが行う。その決定を誰が、何時したのかを問うたら、それは経営上の秘密事項だとして回答しなかった。

 つまり抜け道として分社化した東電EPを使っている。東電経営陣の責任を追及された場合の逃げ道だ。それを許してはならない。

◎ 東電HDの大株主は東京都。これに対して東電の資金支援を認めないよう働きかけることは重要だろう。

 また、東電との関係としては、株主になっている地方自治体もあるので、それに対しても働きかけることは意味があることだ。

 また、東海第二原発の避難計画を作るのは地方自治体であり、避難先とされているのも地方自治体だから、双方に対して事故時の影響、本当に避難できるのか、するのか、避難者を受け入れることが

出来るのか、生活を維持し被災者への十分なケアが出来るのかが

問われる。

◎ 自然災害ですら不十分な避難態勢に対し厳しい指摘が続いている。

まして人災である原子力災害に巨額の税金を使い多くの職員を動員するなど論外であろう。

 自然災害と一緒に起きた場合の悲惨な状態を考えるならば、そのような防災計画を作ることも躊躇し、拒否すべきことではないのか。

 これらをも含め、地方自治体への働きかけを強めることから、再稼働を認めない世論形成を続けていきたい。    (初出:月刊たんぽぽニュース、2020年1月号No289)